令和6年4月1日より4種混合(百日咳・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ)にHibを加えた5種混合ワクチンが定期接種になりました。令和6年2月以降に生まれた児あるいは、まだ一度も4種混合とHibの接種を受けていない児は、5種混合ワクチンの接種が可能です。従来の4種混合とHibワクチンを受けられた方は、最後まで4種混合及びHibで終了します。接種時期は生後2か月から90カ月(7歳6カ月未満)ですが、5種混合ワクチンの問診表を持参していただく必要があります。
5種混合ワクチンは、筋肉内注射が可能になり、筋肉内の方が、副反応も少なく、免疫効果も高いといわれています。当院では、筋肉内接種を推奨しています。
1期初回は20日以上の間隔(推奨27日)をおいて3回接種。
1期追加接種は初回終了より6か月以上空けた(推奨期間は6カ月から18カ月)
間隔で1回接種します。
・百日咳(P)は特有のけいれん性の咳発作が特徴的な急性気道感染症です。鼻水や軽いせきのような風邪症状から始まり、独特なけいれん性の咳発作(スタッカート)が現れ、咳が治まるときにヒューヒューという音がすることを繰り返す(レプリーゼ)が特徴です。新生児や乳児が感染すると、咳はなく、無呼吸発作で現れ、脳炎などを併発し、致命的になることがあり、早期にワクチン接種することが重要です。
不活化ワクチンのため、免疫力は次第に低下し、小学校では百日咳の流行が起こることがありますので、入学前には、3種混合ワクチン(DPT)の接種、及び、11歳では、2種混合(DT)の代わりにDPTの接種を勧めています。
・ジフテリア(D)は、ジフテリア菌による感染症で、のどの痛みや発熱、首のリンパ節の腫れ、息苦しさなどが主な症状です。進行するとジフテリア毒素が体内で産生され、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。日本では、1999年を最後に報告されていませんが、海外においてはまだ発生がみられています。
・破傷風(T)は土壌やほこりに生息する破傷風菌が傷口や創傷部位に侵入することで発症します。けがなどの既往症があり、口が開けにくい(開口障害)、筋肉のけいれんや強直が起こり、後弓反張のような姿勢になり、死亡率が高い恐ろしい病気です。人から人へうつる病気ではありませんが、日本では、年間100名以上の感染が認められています。
・ポリオ(IPV)は小児麻痺ともいい、ポリオウイルスの感染によって起こりますが、多くの感染者症状を示さないいわゆる不顕性感染となります。しかし、重篤化すると手足の麻痺が生じることがあります。日本でもかって大流行したことがありますが、世界ではポリオウイルスは激減していますが、一部の地域ではまだ流行があります。
・HibはHibワクチンのことです。Hib感染症はヘモフィールスインフルエンザ菌と呼ばれる菌により感染症を引き起こす病気です。重篤なものとして細菌性髄膜炎や敗血症がよく知られています。Hibによる細菌性髄膜炎の死亡率は14.6%あり、後遺症残すこともあります。また、Hibによる急性喉頭蓋炎では、急激な経過をとり、窒息死することもあります。いずれもHibワクチン接種により防げる病気です。