RSウイルスに関する臨床試験(SYMPHONIE 2)のお知らせ

RSウイルス感染症の説明

RSウイルスは、2歳までにほとんどの子どもが感染します。喘息のような咳と喘鳴と発熱が1週間ぐらい続き治癒に向かいますが、細菌感染により肺炎を合併し、急速に呼吸状態が悪化(鼻翼呼吸、陥没呼吸、顔色が悪い、哺乳力不良など)することがあり、子どもの感染症の中では重篤です。特に生後6カ月以下の乳児は、酸素を使った呼吸管理が必要にあることもあり、生後1か月未満では、無呼吸発作、突然死の原因にもなります。

RSウイルス感染症の予防

乳児のRSウイルス感染の予防には、妊娠28~36週の妊婦を対象としたRSウイルスワクチン(アボリスボ)がありますが、乳児を対象としたワクチンはありません。
現在、RSウイルスの予防には、乳児の場合は、シナジスという抗体薬(RSウイルスに対する抗体を注射製剤にしたもの)があり、保険適応されていますが、在胎35週以下の早産児、先天性心疾患、ダウン症候群などの基礎疾患のある乳児しか認められていません。しかも月に1回筋肉注射を約8か月間投与する必要があります。
今回、新たなRSウイルス抗体薬のベイフォータスが、2024年5月から認可されました。ベイフォータスは1回の注射で、約5か月間の感染予防効果があります。

RSウイルスに関する臨床試験

ベイフォータスは、欧州連合(EU)では、2022年10月に、米国では、2023年7月に全ての新生児及び乳児を対象に、予防薬として認められています。しかし、日本では、シナジスと同様に、基礎疾患のある乳児しか認められていません。
今回の臨床試験は、このベイフォータスを2024年11月1日~2025年10月31日生まれで、三重県在住の健康な赤ちゃんに無料で打ってもらい、RSウイルス感染症の流行の変化を観察したいというものです。予防接種を受ける際に同時接種が可能です。また、この臨床試験は、産科の病院でも、今年の4月以降出生の乳児には、退院までの間に接種することが可能になっています。母がアボリスボを接種していても接種可能です。この研究は、三重大学小児科・産婦人科・公衆衛生・三重病院・三重県小児科医会の承認を得た共同研究になっています。アンケートをお渡ししますので、それにお答えいただいてからの接種になります。接種に同意していただくと、説明資料をお渡ししますので、文書同意と同時に予診票の記載を行って下さい。QRコードから登録して頂き、接種後30・60・180日目のリマインドメールに返信していただくだけです。副反応は、他のワクチンと同様に極めて低いですが、アナフィラキシー反応の可能性がありますので、接種後30分は院内にて待機していただきます。 

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